人工授精（AIH）とは？

人工授精というと自然ではないようなイメージを受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、自然妊娠と同じく卵管での自然な受精を期待する治療法です。通常の性交では、膣に射精された精子が自力で子宮に進んでいきますが、人工授精では細くてやわらかい特注の医療用カテーテルで、選別した良好な運動精子を子宮の奥へ送り届けます。直接卵に近いところへ精子を送り込むため、自然妊娠よりも受精する確率は上がります。人工授精自体による痛みはほとんどありません。

タイミング法を何周期か挑戦したけどうまくいかない、運動している精子が少ない、頸管粘液が少ないなど問題がある場合に検討する治療法です。

ここでは人工授精の方法や治療の流れと、当院で行う独自の人工授精についてもご紹介します。

人工授精（AIH：Artificial Insemination with Husband`s semen）とは、排卵のタイミングを予測し、排卵日に選別した精子を人工的に子宮内に送り込み、自然な妊娠を期待する方法です。女性の卵管がきちんと通じていることが前提条件です。

精液の一部をそのまま注入する方法もありますが、精液中に含まれるプロスタグランジンの作用により、子宮が収縮し痛みを感じることがあります。また精液中には細菌が含まれていることがあり、感染の原因となることがあります。

当クリニックでは、3つの遠心分離法を組み合わせて、精液中の菌、ウイルスを取り除いたDNAに傷の無い運動精子を人工授精に使用することも可能です。

当クリニックでは、選別精子を用いた特色のある人工授精を行っています。
ここでは一般的な不妊クリニックでの人工授精との違いを説明していきます。
１）源精液（射出した精液そのもの）による人工授精：一部の不妊外来
源精液の一部をそのまま子宮腔内へ注入します。
精液中に含まれるプロスタグランジンの作用により、子宮が収縮し激しい痛みを感じることがあります。また、精液中には細菌が含まれていることがあり、感染症の原因となります。
２）洗浄濃縮による人工授精：通常の不妊外来
採取した精液を、特殊な液体を用いた密度勾配法（遠心分離かけて細胞を分離）によって洗浄濃縮し、子宮腔内へ注入します。
洗浄濃縮により、精液中のプロスタグランジンや白血球、細菌などをある程度除去することができます。DNA損傷精子をすべて除去することはできませんが、ある程度効率的に運動精子を回収できます。
３）スイムアップ法：通常の不妊外来
精液もしくは洗浄濃縮した精子を培養液に入れ、泳いで上がってきた精子を回収します。運動精子を回収できますが、精液所見が良好でない場合、数が非常に少なくなってしまうのが難点です。
４）当院の選別技術を用いた人工授精
3つの遠心分離法を組み合わせ、DNA損傷の無い運動精子を集められるようなプロトコールで選別します。
この精子選別方法は、大学研究機関で長年研究開発された特殊な技術を臨床応用しており、DNA損傷精子等の正常な受精をする可能性が低い精子をより多く取り除くことができます。また、精液中の、菌、ウイルス、精しょうも確実に取り除くことができ、感染の回避、受精率の向上、流産率の低下、さらには妊娠率の向上に期待ができます。
※精しょうには、受精の際に必要な先体反応（精子が卵に突入する際に起こす反応）を起こりにくくさせる作用があるといわれています。また、抗精子抗体を作る原因ともいわれています。

これまで3000例以上のご夫婦に対して精子の選別を実施し、体外受精や顕微授精を行うレディースクリニックに持ち込んだ実績があります。

精子を安定的に凍結融解する技術もあるため、ご主人の精子が凍結に耐える能力があれば、ご主人には人工授精の日に合わせて仕事を調整したりする必要がなく、ご都合の宜しい時に採精にご来院いただきます。

現在、混合診療（自費と保険診療）は認められていないため、治療内容が制限されることもありますが、当院ではできるだけご夫婦に高度な治療を選択肢として提示できる体制を継続し、原則として保険診療を優先して治療にあたってまいります。

但し、同一周期で自費と保険診療をすることはいかなる場合も認められないと行政同局より指導を受けておりますので、自費診療を希望される場合には、その周期は全て自費となります。大変恐縮ですが、ご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

人工授精の費用と治療に際して必要な検査（自費診療分）